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(一社)日本医療機器テクノロジー協会について

2021年度 事業計画

総  論

昨年来のCOVID-19 パンデミックにより、安定した医療提供の重要性が強く叫ばれており、医療機器の安定供給への責務も一層高まっている。受診抑制や待機症例の手術延期そして、医療機関へのアクセス制限等により、厳しい事業環境下ではあるが、MTJAPANには、「医療を止めない」を合言葉として、総力を結集した活動が求められている。

そのような中、少子高齢化社会を背景に、予防から予後までを網羅する包括的医療の重要性も増している。また、医療デジタル化に向けた国策により、AI、IoT、5Gやウェアラブルなどの新しいテクノロジーを用いたデジタル治療やオンライン診療等、医療機器の守備範囲が拡大しつつある。

MTJAPANには、これからも医療を取り巻く環境の変化に柔軟に対応し、医療の質の向上と安心安全に資する医療機器を安定供給するとともに、医療に新しい価値を提供できる医療機器をタイムリーに届けていくことが求められている。

医療を取り巻く経済や財政の状況が厳しくなる中、我々には、成長を維持するための戦略立案と施策実行も求められる。2022年度診療報酬改定を控えた本年は、安定供給の維持とイノベーション評価の推進を念頭に、ステークホルダーとのコンセンサスの形成に努めるとともに、会員企業のさらなる事業拡大機会の創出のために海外展開も視野に入れた戦略的な活動を展開していく。

加えて、医療に安心安全を提供するために、医療現場への適確な情報提供を行い、より一層の信頼性、透明性の確保に努め、企業倫理の徹底や透明性ガイドラインに基づく情報公開、公正競争規約等の周知徹底を図っていく。

これらに鑑み、2021年度は、会員企業の継続的発展に貢献できるよう、以下の6つの重要テーマを設定し、各々の重点施策に取り組むこととする。

【重要テーマ】

  1. 医療機器イノベーションの推進
  2. 医療機器の特性を踏まえた適切な評価の推進
  3. グローバル化の推進
  4. 医療安全・安定供給の確保
  5. コンプライアンスの徹底
  6. 産業基盤の強化と人材の育成

2021年度重点施策と主要課題

  1. イノベーション創出に向けた産業基盤の強化
    • 政策動向の分析と政策提言への取り組み
    • 医療機器イノベーション創出の機会提供への取り組み
    • 研究開発技術者の育成策の検討
    • 部材供給円滑化への取り組み
  2. 医療機器の特性を踏まえた規制と審査の最適化への取り組み
    • 改正医薬品医療機器等法における諸制度施行への対応
    • 医療機器開発プロセスと規制の最適化の検討
    • 医療機器の特性に合わせた承認審査制度の検討
    • 承認審査の迅速化・効率化ならびに負担軽減への取り組み
  3. 治験・臨床研究の円滑化への取り組み
    • 医療機器開発の活性化に向けた臨床研究法の課題に関する検討
    • 患者レジストリ利活用、治験効率化への取り組み
    • 臨床評価のあり方、被験者保護等の検討
    • リアルワールドデータの承認審査への活用に関する検討
  4. 医療保険制度改革への取り組み
    • 2022年度診療報酬改定への取り組み
    • 医療保険制度のあり方に関する調査検討
    • イノベーション評価のあり方に関する検討
    • 安定供給の維持に向けた制度面からの検討
  5. 国際展開の推進
    • 国際展開戦略策定への取り組み
    • 安定供給の維持に資する国際連携策検討への取り組み
    • 国際薬事規制(MDR,AMDD等)の動向把握と周知への取り組み
    • 法規制の国際整合への取り組み
  6. 医療安全への取り組み
    • 相互接続防止コネクタの市場導入への取り組み
    • 添付文書の電子的提供への対応とPMDAデータベースへの登録推進
    • 保守管理等医療機器の定期点検、安全確保に関するユーザーへの周知
    • サイバーセキュリティへの取り組み
  7. コンプライアンスの徹底
    • 企業倫理・コンプライアンスに関する啓発活動の推進
    • プロモーションコード、公正競争規約等に関する理解促進への取り組み
    • 競争法コンプライアンス規程の周知徹底
    • 透明性ガイドラインに基づく情報公開の推進
    • 療機器と医薬品プロモーションコードの比較検討
  8. 流通機構における情報化等への取り組み
    • バーコード表示義務化ならびにデータベース登録推進への対応
    • 国内外のUDI制度への対応
    • ICT利活用の推進
    • 医療機器流通特有の課題への対応
  9. 情報発信の強化
    • 国民に対する医療機器への理解度の向上策の検討
    • MTJAPAN活動の対外発信力強化の検討
    • MTJAPAN医療機器統計資料の編纂と対外活用の推進
  10. 環境規制への取り組み
    • EOG大気排出抑制対策への取り組み
    • 原材料、化学物質および環境等に関する法規制の周知と遵守の徹底
    • 医療機器のライフサイクルに纏わる環境対策への取り組み
    • 環境に配慮した素材や製品仕様等の検討
  11. 災害発生時の安定供給への取り組み
    • 安定供給の確保のための防災訓練の実施
    • 製造所・流通拠点マップの整備
    • 被災状況および影響度の迅速把握に関する方法の検討
    • 医器販協等、関連団体との緊急連絡体制の維持
    • 安定供給の維持に向けた標準化の推進
  12. MTJAPANのさらなる活性化に向けた取り組み
    • 次世代人材の参加促進と育成に向けた素地作り
    • 会議、講演会等のデジタル開催に向けた環境整備
    • 新ホームぺージの利活用による情報共有の推進

以上

2021年度部会事業計画概要

  1. 第1ディスポ部会

    誤接続防止コネクタ(ISO 80369-2 四肢カフ、ISO 80369-3 栄養分野)についての情報提供を行う。また、改正医薬品医療機器等法の確認を行う。さらにJISについては、改正に向けた活動を継続する。課題である部会内での人材育成への取り組みを行う。

  2. 第2ディスポ部会

    理事会及びMTJAPAN法制委員会等での報告を主体として活動して行きます。

  3. 人工腎臓部会

    業界を取り巻くさまざまな環境変化に適確且つ迅速に対応するため、引き続き関連学会等ステークホルダーとの連携を強化する。また、部会員への適宜・適切な情報提供と共有化等により部会活動の一層の活発化活性化を図る。

  4. 人工心肺部会

    MTJAPANの重点施策と主要課題を踏まえ、医療安全、安定供給への取り組みや医療保険に係る活動等を実施する。

  5. 血液浄化部会

    関連する部会・委員会、学会等との連携を行いながら、当部会の関連課題に対する活動を実施する。医薬品医療機器等法や安全対策、災害対策、安定供給、診療報酬、企業倫理などの関連情報を迅速かつ適切に共有しながら対応を行い、医療機器業界の発展に向けた健全で適切な活動を推進する。

  6. 第1カテーテル部会

    MTJAPAN事務局、各委員会等から情報について、幹事会にて情報を吟味、整理し、部会等でタイムリーに情報提供していく。特に、改正医薬品医療機器等法への対応、医療の質の向上と安心、安全に資する医療機器の安定供給、医療に新しい価値を提供できる医療機器のタイムリーな提供が求められている現状を鑑み、改正医薬品医療機器等法下での諸制度とそのタイムライン、安定供給やコンプライアンスについて、部会員への周知を図る。

    幹事会、部会等の開催に当たっては競争法コンプライアンス規程を遵守する。COVID-19が終息し、部会員各社の規制が解除されるまでの間、これらの会議はWeb会議システム、若しくはOn Site併用Web会議システムでの開催とする。

  7. 第2カテーテル部会

    部会員への国内外の基準・規格制の改定の動向、関連法規ならびにコンプライアンスを周知する活動をWeb開催での部会、必要に応じたメールでの情報共有を行う。

    部会では、法制委員会部会代表者及び公取協MTJAPAN支部運営委員会部会代表者による関連法令に関する情報共有、行政等からの最新情報を周知する。本年8月1日から施行される添付文書(注意事項等情報)の電子化への対応及びコンプラアインス遵守の周知徹底を行う。

    2022年4月の保険償還価格の改定に向けた準備、タイムリーな情報共有を行う。

  8. 総合インプラント部会

    新型コロナウィルス感染症が収束せずニューノーマルが求められている。医療機器業界では、医薬品医療機器等法改正に伴いガバナンス強化、安全管理への電子化対応、2022年度診療報酬改定も厳しくなることが予想されている。

    「医療を止めない」という基本にかえって、コンプライアンスの周知徹底を図り国民、医療機関等への医療機器の安定供給を通じて、安心と安全を提供し信頼性、透明性の確保に努め次世代への「襷」活動に取り組みます。

  9. 整形インプラント部会

    2022年度診療報酬改定に向けた検討を進め、厚労省との協議を進める。部会に参加する各企業のコンプライアンス担当者と共に、更なる体制強化に向けた検討を進めていく。その他の項目については、関連する小委員会にて検討を進める。COVID-19の影響が2021年度も続くと考えられることから、部会、幹事会、小委員会については引き続きWebでの開催も含めて実施する。

  10. 再生医療部会

    行政からの通知についての情報共有、意見募集等依頼事項、説明会の開催等に対する対応を継続するとともに、再生医療関連規制を一覧出来るデータベース作成を進め、今年度中に、一旦、部会の情報資産として共有するところまで完了させる。

  11. 創傷被覆材部会

    2022年度の診療報酬改定を念頭に活動する。コロナ禍で2020年には活動ができなかったMTJAPANの重点施策を推進する。

  12. 在宅医療機器部会

    医療行政において「在宅医療の充実」は引続き重点課題とされている。当部会は、MTJAPANの中で在宅医療関連の事業を行っている企業が集まっている唯一の部会であり、自らの立場・役割を十分認識し、在宅療養を行っている患者さんの安心と安全に十分配慮しながら、更なる質の向上と安全確保に向けて諸課題に積極的に取り組んでいく活動を行う。

    会員各社が携わっている在宅医療は、在宅酸素療法、在宅自己腹膜還流療法、在宅中心静脈栄養法など多岐に亘っており、取扱っている機器・材料類や対象となる患者様の生活実態などが異なるため、対応が一様でない部分もあるが、幅広い検討・協議をすすめていく。

以上

2021年度委員会事業計画概要

  1. 産業戦略委員会

    MTJAPAN関連産業発展に向けた産業戦略を担う委員会として、医療機器産業振興に関わる政策の情報共有および意見交換を行い、医機連と連携しての政策提言、産業成長のための基盤整備等を実施することで、会員企業ならびに医療機器産業全体に貢献する。

  2. 医療保険委員会

    2022年度診療報酬改定に向けた業界意見を取りまとめ、定期会合、中医協での意見陳述へつなげる。特に薬価の中間年改定及び一定幅の見直し議論は、特材への波及が避けられないため、中医協での議論に耐えうるエビデンスづくりと理論武装を行う。

    また、厚労省経済課や関係団体とは、意見交換などを通じ、引き続き連携を密に取り、一枚岩で改定に臨むこととする。会員向け説明会・講習会ならびに、委員会のレベルアップを目的とした有識者との勉強会などは、オンラインの活用など感染対策は継続しつつも活発に実施する。なお海外調査はコロナの状況を鑑み、2021年度も国内での調査活動を中心に進める。

  3. 国際委員会

    会員企業の国際展開を支援するため、国際産業動向、規制情報や国際展開推進施策等について、国内外のステークホルダーとも連携して調査研究し会員企業へ情報提供する。加えて海外展示会等でのシンポジウム開催や出展等の国際交流を通して会員の優れた商品力、高い技術力の海外展開支援に取り組む。

    さらに、アジアパシフィックや米国における医療機器産業の動向や業界団体の活動状況把握のためAPACMed MEDTECH FORUMやAdvaMed THE MEDTECH CONFERENCEに継続参加し、会員企業と得られた情報の共有化に努める。また、本年度は海外展開支援に関する現地調査の実施と海外医療機器団体等との交流・連携の可能性を研究する。

  4. 技術委員会

    医療機器の技術開発の振興・成長に寄与することを目的として、医療IT、EMCなど医機連 技術委員会と連携し活動を行う。

    また、医療機器技術者の育成支援やレベルアップを目的に、知的財産戦略の推進、関連技術動向の調査研究など、技術開発の振興に資する調査研究を行うとともに関連施策の提言に取り組む。

  5. 流通委員会

    流通の効率化およびトレーサビリティ確保に関する調査研究を行い、国内外UDI制度への対応、ICT利活用の推進等について関係団体とも連携して取り組む。

  6. 環境委員会

    原材料、化学物質に関する国内外の規制について情報を収集し、共有化する。

    環境省によるEOGの排出抑制に向けた動きに対するMTJAPAN施策の浸透を図るとともに、排出量モニタリングのためのアンケート調査を行う。また、PRTR制度におけるEOG排出量算定に関し、業界ガイドラインの周知を図る。

    環境委員会セミナーを企画し、原材料、化学物質に関わる情報を発信していく。

  7. 法制委員会

    2020年度に見直した新体制での委員会運営を軌道に乗せる。

    医機連の活動と連携して「医療機器の規制と審査の最適化のための協働計画」の課題等についてMTJAPANとして情報共有・協議・提案に取り組んでいく。

    医薬品医療機器等法改正施行に滞りなく対応するための周知活動にも注力する。また、人財育成に向けたアイデアを積極的に検討・試行し、委員会活動として構築していく。

  8. 安全性情報委員会

    今年度も昨年度と同様に、医機連PMS委員会報告、MTJAPAN主催の営業管理者継続的研修への協力及び「安全管理に係る説明会」を軸に活動をして行きます。

  9. QMS委員会

    前年度に引き続き,医機連QMS委員会と連動し,医薬品医療機器等法への対応(特に,改正QMS省令の周知,次回法改正に向けたQMS調査制度合理化への意見具申),ISO 13485定着およびMDSAP対応を中心に最新動向の周知を図ると共に,製販業者/製造業者のQMS底上げを図るべく,啓発に努める。

  10. 国際規格委員会

    ・ISO/TC(76,84,150,194,198)国際会議への専門委員派遣及びISO規格制定、改正の推進
    ・ISO/TC(76,84,150,194)国内委員会の開催、運営
    ・JIS小委員会、JIS原案作成委員会の開催及びJIS規格制定、改正の推進
    ・国際規格委員会の開催
    ・国際規格審議団体分科会(医機連主催)への参加

  11. 臨床評価委員会

    医機連・臨床評価委員会との連携の下、治験、臨床研究等の医療機器の臨床評価全般について、法施行及び国際整合化に向けて課題抽出と解決に向けた活動を行う。また、会員企業や臨床試験関係者に対しては、関連通知や成果物の啓発活動に取り組む。

  12. 広報・教育委員会

    医療機器産業が、疾病の早期発見や診断そして低侵襲治療など、医療の発展と健康維持に貢献していることや、医療機器を取り巻く課題等について広く一般市民(国会議員、行政を含む)に認知してもらうための広報活動を実施する。あわせて、会員団体及び関係者への情報提供観点での情報発信を行う。

  13. 企業倫理委員会

    会員企業における企業倫理・コンプライアンス、各種関係法令・ルールの遵守・周知を目的とした一層の啓発活動を推進する。

    2021年度に改定となる「医療機器業プロモーションコード」について会員企業への周知・徹底、また「医療機器業界における医療機関等との透明性ガイドライン」については情報開示のさらなる促進を目指し、会員企業が適切な事業活動およびプロモーション活動を行うための情報提供と理解促進の活動を推進する。

    なお活動に際しては医機連や公取協MTJAPAN支部との連携を行う。

  14. 統計委員会

    2021年度版MTJAPAN医療機器統計資料の発行を目指す。引き続き統計データの精度の維持向上を図るとともに、より有用で活用度の高い資料とするべく、継続して編集内容の見直しや資料の有効利用に関する検討も進める。

  15. 機器・メンテ委員会

    医療機器に関連する基準・規格や基盤技術から保守点検・修理について調査・検討を行い、品質・安全確保に向けた施策の立案・提言について、医療機器を保有している各部会と横断的な連携をはかり、活動を行う。また、医機連 技術委員会 EMC分科会や販売・保守委員会へ委員を派遣し、医機連とも連携しながら活動を行う。

    その他、医療機関における保守管理(医療機器の定期点検等)の啓発活動を継続するとともに、諸課題について関連委員会・部会等と連携し、活動を行う。

以上